子どもの可能性を広げたい、でも何を習わせればいいのかわからない──そんな悩みを抱える親は多いのではないでしょうか。
本書『子どもに習い事をさせるなら そろばんからはじめなさい』は、「習い事選びに迷う親」に向けて、明確なひとつの答えを提示します。その答えとは、「そろばん」です。
かつての“定番”だったそろばんが、今あらためて注目されている理由とは何か?本書は、脳科学・教育実践・子どもの成長事例を交えながら、そろばんの持つ真の価値を丁寧に紐解いていきます。
子どもに習い事をさせるなら そろばんからはじめなさい
本書の基本情報
- 書名:集中力 記憶力 創造力 判断力 忍耐力 子どもに習い事をさせるなら そろばんからはじめなさい
- 著者:沼田紀代美(いしど式そろばん教室 代表取締役)
- 出版社:幻冬舎
- 発売日:2024年4月11日
- ページ数:216ページ
- Amazonリンク:商品ページはこちら
この本の概要と特徴
本書の大きな特徴は、「そろばん=計算道具」という従来のイメージを覆す点にあります。
著者は「いしど式そろばん教室」の代表であり、これまで24年以上にわたり2万人以上の子どもと向き合ってきた教育者。現場で得た知見をもとに、そろばんがいかに子どもの「脳」と「心」に良い影響を与えるのかを、科学的な根拠と豊富なエピソードで解説しています。
また、脳神経外科医・篠浦伸禎氏による脳科学的な解説も収録されており、右脳活性・集中力・記憶力の関係についても具体的に紹介されています。
印象に残った5つのポイント
① そろばんは「計算道具」から「能力開発ツール」へ
もはや単なる暗算技術を習得する道具ではありません。そろばんは「右脳を鍛え、思考力を育てる脳トレーニング」として再評価されています。
② 右脳を使うことで「ひらめき」や「創造性」が伸びる
右脳活性によって、ただ速く正確に計算できるだけでなく、創造力や課題解決力、発想力までもが養われる点は非常にユニークです。
③ EQ(心の知能指数)を高める情緒教育
そろばんは、集中・継続・達成体験の積み重ねによって「忍耐力」や「自制心」を自然と育ててくれます。
④ ADHDや発達障害の子どもへの効果
そろばん教室での実例として、落ち着きのなかった子がクラスのリーダーに変わった事例など、発達支援としての可能性にも言及しています。
⑤ 海外でも注目される「そろばん教育」
ポーランドやグアテマラなど、世界でも広がりを見せており、日本独自の教育文化がグローバルに通用していることを示唆しています。
感想
- 未就学児〜小学生の親
- 発達に不安を感じている家庭
- 教育関係者・子育て支援者
- 今後の習い事選びに悩んでいる方
本書を読んで最も印象に残ったのは、「そろばんは計算道具ではなく、能力開発のトレーニングツールである」という視点の転換でした。これまでそろばんに対して抱いていた「昭和的」なイメージが一新され、右脳の活性化やEQ(心の知能指数)の向上など、非認知能力を育てるための強力な手段であることが明確に示されています。
著者の沼田紀代美氏は、ただの教育理論家ではなく、実際に2万人以上の子どもの成長を現場で見守ってきた人物。そのリアリティのある語り口に説得力があり、内容のすべてが実証的で地に足のついたものだと感じました。
「いしど式」の事例紹介が豊富な構成となっていますが、読者への押しつけはなく、習い事選びに悩む親にとって、冷静かつ前向きに考える材料を与えてくれます。特にADHDや発達障害の子どもにとっても効果があるという話は、我が子の個性に悩む親にとって希望の光になるはずです。
そろばんは、時代遅れの習い事ではなく、“今だからこそ必要とされる教育”だと気づかされた一冊でした。短時間の積み重ねが、子どもの未来を確実に変える──そう確信できる読後感がありました。
お子さんの習い事に悩んだときに読んでみる価値のあるおすすめの一冊です。