文部科学省の調査によると、令和5年度には不登校の小中学生が 34万人を超え、過去最多 を更新しました。そのうち 小学生は約13万人 、中学生は21万人 と年々増加傾向にあります。

そのような状況で注目されているのが、文部科学省が認める 「ICTを活用した学習を出席扱いとする制度」 です。
上記のデータから分かるように「不登校」は決して珍しいことではなく、誰にでも起こり得る身近な問題となっています。
本記事では、「ICT出席扱い制度」の仕組みと承認されるための条件、申請方法を分かりやすく解説し、出席扱いに対応したICT教材についてもご紹介します。
文部科学省発表の「不登校生徒が出席扱いになる」制度
概要
学校に通えない期間が続くと、子どもの「出席日数」や「成績評価」に関する不安が大きくなるものです。こうした背景を受けて、文部科学省は令和元年(2019年)に「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知を発表し、次のように明記されています。
義務教育を前提として、一定の要件を満たした上で、自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合には、校長は指導要録上、出席扱いとすることができ、その成果を学習評価に反映することができる。
わかりやすく解説すると、
自宅でインターネットを使った学習をしても、「学校に行った」としてカウントしてもらえます。もちろん、ただ学ぶだけでいいわけではなく、一定の条件をクリアしている必要があります。その条件を満たし、校長先生が「これなら大丈夫だ」と判断すると、学校の記録(指導要録)に“出席”と記入してもらえ、その学習の成果は定期テストなどと同じように成績評価にも反映されるというものです。
対象学年
出席扱い制度対象となるのは、小学生~高校生まで。
高校は義務教育ではないため、小中学校のように単純に「出席日数の確保」という扱いではなく、単位修得の認定と結びつくため、承認のハードルは高めです。
出席扱いになる7つの条件
- 保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること
- ICT(通信教育やオンライン教育などインターネット環境とPC、タブレットなどのデジタル機器を用いた学習方法のこと)や郵送、FAXなどを活用して提供される学習であること
- 定期的に訪問、オンラインでの対面指導が行われること
- 生徒の理解度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
- 校長が対面指導や学習の状況を十分把握していること
- ICT学習を出席扱いとするのは、公的機関や民間施設で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
- 学習活動の成果を評価に反映する場合、学校の教育課程に基づき適切と判断される場合であること
引用元:不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて
出席扱い制度が承認されるまでの流れ
出席扱い制度を利用するためには、家庭だけで進めるのではなく、学校と段階を踏んで話し合いを進める必要があります。一般的な流れをわかりやすく整理すると、次のようになります。
まずは担任の先生に相談する
最初のステップは、在籍している学校の担任への相談です。
「自宅学習を出席扱いにしてほしい」という希望を伝え、その際に文部科学省の通知や制度に関する資料を見せながら、家庭としてどのように学習を進めたいのかを明確に説明すると理解を得やすくなります。
校内での検討・協議
担任が受けた相談は、校内で共有されます。校長や教頭を交えて「制度をどう活用するか」「条件を満たしているか」について協議され、学校全体で方向性が検討されます。
条件の確認と調整
出席扱いの承認には「学習ログが残ること」「教育課程に沿った内容であること」など、文部科学省が示す要件を満たす必要があります。
そのため、使用する教材や学習計画をもとに、どのように記録を提出するか、どの程度の学習時間を確保するかといった細かい条件が学校と保護者の間で確認されます。
承認後の運用開始
校長が条件を満たしていると判断すれば、出席扱いとして承認されます。承認が下りたあとは、家庭でICT教材を活用しながら学習を続け、その記録を定期的に学校へ提出します。
大切なのは、承認がゴールではなく、学校と連携しながら学習状況を共有し続けることです。これによって制度が適切に運用され、子どもの学びを継続的に支えることができます。
出席扱いの承認までにかかる期間
出席扱い制度を利用する際に気になるのが、「申請から承認までどのくらい時間がかかるのか」という点です。実際には学校の対応や前例の有無によって大きく変わります。
前例がある場合:数日〜1週間で承認されやすい
すでに学校内で「すらら」や「天神」などのICT教材を使った承認事例がある場合、申請は比較的スムーズです。担任や校長も制度に理解があり、数日から1週間程度で出席扱いが認められるケースもあります。
前例がない場合:数週間〜1か月かかることも
一方で、その学校や教育委員会でICT出席扱いの前例がない場合は、校長や教育委員会の協議に時間を要することがあります。制度の解釈や教材の適切性を確認するため、数週間〜1か月程度かかるケースも少なくありません。
スムーズに承認を受けるためのポイント
- 文部科学省の通知(文科省公式ページ)を資料として提示する
- 教材の学習ログやレポート機能を具体的に説明する
- 他校での承認事例を紹介して安心感を与える
これらを事前に準備しておくことで、学校側が判断しやすくなり、承認までの期間を短縮できる可能性があります。
出席扱い制度のメリットと注意点
ICTを活用した出席扱い制度は、不登校や長期欠席に悩む家庭にとって大きな支えとなります。しかし、メリットが多い一方で、注意すべき点も存在します。制度を正しく理解した上で活用することが大切です。
メリット
学習の遅れを防げる
家庭での学習が出席と同等に評価されるため、長期欠席があっても授業の遅れを最小限に抑えられます。教材によっては、子どものペースに合わせて学習できるので理解の定着も期待できます。
内申点や進級への安心感
出席日数が不足すると内申点や進級に影響することがありますが、ICT学習を出席扱いとして認めてもらえれば、このリスクを軽減できます。特に中学・高校進学を控えた家庭にとって大きな安心材料です。
子どもの心理的な支えになる
「学校に行けなくても、自分の学習は評価される」という実感は、子どもの自己肯定感につながります。出席扱い制度を活用することで、学校復帰への一歩を踏み出すきっかけになる場合もあります。
注意点
学校による判断差がある
承認の最終判断は校長に委ねられており、自治体や学校ごとに対応が異なります。教材選びや申請準備を整えていても、必ず承認されるわけではありません。
教材費の負担がある
ICT教材は無料ではなく、月額課金や買い切り型など一定の費用がかかります。出席扱いのメリットと費用を比較し、家庭に合った教材を選ぶ必要があります。
保護者のサポートが必要
教材のログ提出や学校との連絡は保護者が担うことが多く、一定の負担があります。特に導入初期は「計画作成」「記録提出」など学校への対応が増えるため、保護者の理解と協力が不可欠です。
出席扱いで実績のある代表的なICT教材
出席扱い制度を活用する際、どのICT教材を選ぶかは非常に重要です。文部科学省の通知では教材名を限定していませんが、実際に多くの学校で承認された実績のある教材を利用する方がスムーズです。ここでは代表的な教材を紹介します。
ICT教材別「出席扱い実績」比較表
教材名 | 不登校対応の特徴 | 出席扱い | 5教科対応 | 月額費用 | 向いている子 |
---|---|---|---|---|---|
すらら | 無学年式・発達障害対応・ 出席扱い実績多数 | 約 8,000円 | 不登校+発達グレー | ||
サブスタ | 先生が伴走・学校と連携・ 出席扱い実績あり | 約 7,800円 | 学校とのやり取りを重視 | ||
天神![]() | 無学年式・学年超え自由・ 出席扱い実績あり | 1学年1科目あたり33,000円〜 (買い切り型) | 長期利用・家庭学習重視 | ||
スマイルゼミ | 習慣化重視・自動採点・ 一部出席扱い事例 | 約4,000円 | ゲーム感覚で継続したい | ||
進研ゼミ![]() | 教科書準拠・添削あり・ 一部出席扱い事例 | 約5,000円 | 学校復帰を目指す | ||
スタディサプリ![]() | 映像授業中心・ 不登校特化ではない | 約2,000円 | 自主的に学べる子向け |
「進研ゼミ」や「Z会」
、「スタディサプリ」
など、有名な教材には安心感がありますが、これらは「出席扱い対応」を前提に設計されていません。
学習内容は充実しているものの、学習ログ提出や承認実績が限定的であるため、学校の判断に大きく依存します。どうしても利用したい場合は、早めに学校へ相談することをおすすめします。
次の章では、不登校向け「出席扱い」になるおすすめ教材をご紹介します。
おすすめの教材まとめ
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